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水晶体の経年変化と老視


目の中には、水晶体と呼ばれるレンズ状の透明な組織があります。これを毛様体(毛様筋)という筋肉が引っ張ったり緩めたりすることで形を変化させ、レンズの屈折を変えることで視力を調節しています。この水晶体という組織は、元々は皮膚と同じ細胞から派生してできたものです。ですから、皮膚と同じように、細胞分裂を繰り返して新陳代謝を行っています。

しかし、皮膚の新陳代謝と水晶体の新陳代謝には、決定的に違いがあります。それは、古くなった細胞の行き先です。皮膚の場合、細胞分裂により作られた新しい細胞は内側からせり上がり、外側にある古い細胞は垢となってはがれ落ちます。これに対して水晶体は、細胞分裂が表皮部分で行われていて、古くなった細胞は内側へ押し込められて行くのです。

そのため、水晶体は年を重ねるごとに大きくなり、中心に古い細胞が集まります。また、中心部には栄養素も届きにくく、細胞を構成する物質もだんだんと変質するため、柔らかさが失われ、黄色みがかかってきます。

このような、経年による古い細胞の増加と変質が繰り返されていくと、やがて水晶体は柔軟性を失い、調節力がなくなって行きます。これが、いわゆる「老視」というわけです。ピントを調節する力が弱まってしまうために、近くのものをはっきりと見るのが難しくなります。

また、高齢になって白内障にかかり、水晶体を取り除いて眼内レンズを挿入すると、毛様体による調節は不可能となります。この場合は、メガネなどを使って遠近の調節をすることになります。

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