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上皮細胞と酸素の関係


コンタクトレンズが目に与える悪影響としてまず挙げられるのが、角膜へ供給される酸素量の減少です。コンタクトレンズが角膜に直接乗せる医療機器である以上、角膜に酸素が運ばれるのを妨げるのは仕方のないことです。ですから、角膜へいかに多くの酸素を供給できるかという問題は、コンタクトレンズと切っても切り離せないものだと言えます。

ここで、酸素の不足した角膜では、実際にどのような変化が出てくるのか、特に“角膜上皮細胞の変化”について詳しく見ていきましょう。

角膜上皮、つまり角膜の表面にある細胞は、5層の細胞でできています。内側の細胞は四角に近い形をしていますが、表面に近づくにつれて細胞の形は角膜表面と平行の方向にに長くなり、同じ層の細胞同士が強く結合して、外部からの刺激や進入に備えたシールドのような役割を担います。

この上皮細胞は、絶えず新陳代謝を繰り返しています。一番内側で分裂した細胞は、だんだんと表面の層へせり上がり、古くなった表面の細胞がはがれ落ちるとともに、内側から上がってきた細胞が代わりの役目を果たします。この活動によって、角膜上皮細胞は約1週間ほどで入れ替わっていると言われています。

このような細胞分裂と新陳代謝を繰り返すため、角膜上皮細胞は多量のエネルギーと酸素を消費します。しかし、コンタクトレンズ装用などによって酸素の供給量が減ると、充分な新陳代謝が行えなくなります。

酸素不足によって角膜上皮細胞の活動が阻害されると、新陳代謝が鈍り、表面の細胞が新しい細胞と交代できなくなります。その為、古くなった細胞がそのまま留まり、やがて形を保てなくなって脱落します。このようにして、表面の細胞が脱落した状態を、「びらん」と呼びます。この状態では、細胞がはがれた部分に涙をつなぎ止める機能がなくなり、外部からの細菌などの侵入も防ぐことができません。しかし、この状態では、痛みなどはあまり感じないので、放置されてさらに悪化することもあります。

そしてこの状態が続くと、表面だけでなく、上皮細胞の内側の細胞までが脱落します。そして、上皮細胞のすべての層がはがれ落ちる「上皮剥離」に発展します。こうなると、神経の通っている上皮細胞の内側の層にまで障害が及んで、激しい痛みが現れます。

上皮細胞の脱落を改善するには、角膜にエネルギーと酸素が行き届く状態を保ち、上皮細胞が細胞分裂と新陳代謝を繰り返して修復するのを待つしかありません。つまり、コンタクトレンズの装用を中止して、回復を待つわけです。

このように、角膜が健康を保つには常に新しい細胞を生み出して新陳代謝を繰り返す必要があるため、その活動の源である酸素は欠かせないものです。コンタクトレンズは、その酸素が供給されるのを阻害してしまうため、できるだけ角膜の新陳代謝を妨げないよう、取り扱いについては色々と注文がつくというわけなのです。

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