コンタクトレンズ診療所に関する社会問題

2006年11月以降、コンタクトレンズ販売店に隣接する診療所、いわゆるコンタクトレンズ診療所の診療報酬水増しが社会問題となっています。日本眼科医会の調べによると、全国にある約1300ヶ所のコンタクトレンズ診療所の内、およそ1000ヶ所で水増し請求が行われている可能性が高いとのことです。
通常、健康保険を用いた診療代金の内、保険で負担される額を割り引いたものが患者に請求されます。そして、保険で負担される額については、後から診療所が国に対して請求することになるのです。この時、国に対して請求する金額(保険点数)を不正に多く報告することが、診療報酬の水増しです。
今回問題となっているコンタクトレンズ診療所での診療報酬水増しでは、コンタクトレンズ利用者の患者を、未経験者と偽装して初診料を取るなどして、水増し請求が行われていました。
この方法と、他にもう一つ、水増し請求の手法として使われている方法が、「コンタクトレンズの患者の割合を70%未満に偽装する。」というものです。
なぜ、コンタクトレンズ患者の割合を70%未満にすると水増し請求ができるのかというと、コンタクトレンズ患者が70%以上を占める診療所では、医療報酬の単位である保険点数がおよそ半分になってしまうからです。つまり、コンタクトレンズ患者が70%いる診療所は、医療報酬をおよそ半分しかもらえないことになるわけです。
この保険点数の計算法は、2006年4月に行われた診療報酬の改定によるものです。この改正は、利益目的で医療行為を行っている悪質なコンタクトレンズ診療所に対応する目的もあって行われたものでしたが、結果的にはコンタクトレンズ患者を抱える診療所に無差別な経済的打撃を与え、結果的に今回のような大規模な水増し請求問題が起こる原因となりました。
また、診療報酬の改定を行っておきながら、診療報酬について監督すべき保険事務局などの対応が甘く、水増し請求がほぼ野放し状態になっていたという背景も見え隠れしてるように思えます。
今回の件を引き金に、かなり以前より多くの眼科専門医から指摘が上がっていた「コンタクトレンズ診療所の設立に、名義だけ貸している医師が多数いる」という問題が、今さらながら騒がれている点を考えても、どれだけコンタクトレンズ診療所関連の問題が放置されてきたのかが伺えます。
このような背景を考慮すると、“コンタクトレンズ診療所の診療報酬水増し疑惑”として取り上げられているこの問題は、単純に診療所が水増しをやめたら片付くという話ではないようです。
コンタクトレンズ患者を中心に、真面目に診療を行ってきた診療所は、診療報酬を半減させられて、今後どう維持すれば良いのか?診療報酬改正で、果たして利益主義の悪質な診療所がなくなったのか?改正は適切だったのか?他に悪質診療所対策はなかったのか?監督機関の監査や指導は適切なのか?などなど、今回の問題は、単なる水増し問題ではなく、コンタクトレンズに関わる様々な社会問題を浮き彫りにした形となりました。
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